前回は古代と中世の音楽がどのように発展したかというお話をしましたが、次のルネサンスの時代には音楽にどんな変化が起きたのでしょうか?
ルネサンスというのは日本語で文芸復興と訳されています。
むずかしい言葉ですね。
これは中世の時代に争いが多く、古代にあった文化が失われ、人びとの心が荒れ果ててしまったという考えから、古代ギリシャ、ローマのすぐれた文化に学び、発展させようという運動を指しています。
はるか遠い昔の時代に起こった音楽の進化について、時代背景とともに見ていきましょう。
私たちが耳にしている音楽の成り立ちがわかると、より親しみがわいてくると思います。
ぜひ、最後まで読んでくださいね。
グレゴリオ聖歌の進化「楽譜」と「拍子」はなぜ生まれたの?
神に捧げる単旋律「モノフォニー」
中世の後期に生まれたグレゴリオ聖歌は、ただ一人の神キリストを讃えるための音楽でした。
そのため一つの旋律(メロディー)だけで歌われ、それを神のモノフォニー(単旋律)と言っています。
大勢で歌う時もメロディーは一つで、伴奏もなく最もシンプルな形の音楽です。
しかし、人びとはモノフォニーだけでは単調で面白くないと感じるようになり、もっと美しくするため飾りをつけることを考えたのです。
その飾りをオルガヌムといいます。
装飾から生まれた「オルガヌム」と進化の試行錯誤
より美しくといろいろ工夫をしているうちに、オルガヌムのほうが目立つようになり、ゆっくりと歌われる聖歌に対して速さもそろわなくなってしまいました。
これでは本末転倒ですよね。
美しさを求めて試行錯誤を繰り返したのですが、上手くいかなかったようですね。
歌を揃えるための発明、リズムのルールと楽譜の誕生
そこで、聖歌とオルガヌムを合わせるために拍子が生まれ、誰でも歌えるようにと楽譜ができたのです。
このように聖歌の進歩によって、次の時代に音楽は大きく変化していくのです。
歴史をたどると、音楽をより良いものにするために、人びとが工夫を重ねているのが分かります。
私たちは拍子やリズムがあるのは当たり前と思っていますが、時代を越えて出来たものだったのですね。
ルネサンスの夜明け「ヒューマニズム」によって変わる世界観
ルネサンス音楽についてのお話の前に、ルネサンスってどんな意味で、どんな時代だったの?ということについてお話ししますね。
ルネサンスは日本語で文芸復興(ぶんげいふっこう)と訳されています。
暗黒時代に失われたヒューマニズム(人間を大切にしようという思想)を、古代ギリシャ・ローマの文化から学ぼうという運動が起きたのです。
では、なぜそのようなことが起きたのでしょうか?
教会の支配と十字軍の遠征、暗黒時代と呼ばれた時代背景
中世では教会の力がとても強く、人びとを支配していました。自分の考えを持ったり、それを表現したりすることができない世の中だったのです。
権力を持った教会は自分たちの力をもっと広めようとして、軍隊(十字軍)でイスラム地方に遠征しました。
しかし、この戦いは成功しなかったため、教会の力は弱まっていったのです。この時代はのちに暗黒時代と言われるようになりました。
この暗黒時代に失われたヒューマニズムを求めて、古代ギリシャ・ローマの文化に再び光が当てられたのです。
人間らしさを取り戻す運動「ルネサンス」と自由な自己表現
ルネサンスでは神を信じなかったのではありませんが、ヒューマニズムの運動によって、抑えつけられていた自分の考え、自分の感じ方を自由に表すことができるようになったのです。
きっと明るい日差しを感じたことでしょう。
そして自由になったことによって商業も発達し、豊かな商人たちが学問や芸術の発展を助けるようになりました。
ルネサンス音楽の変遷、多声音楽(ポリフォニー)の完成
ルネサンスの音楽は前期、中期、後期に分けて考えられています。
【前期】ブルゴーニュ楽派、複数のメロディーが織りなすハーモニー
フランス(当時はフランク王国)のブルゴーニュが中心となって、ブルゴーニュ楽派が活躍しました。
彼らはポリフォニー(多声音楽)の宗教音楽や世俗音楽を発展させました。
ポリフォニーとは複数の声部がそれぞれ独立したメロディーとリズムを持ちながら、調和して作り上げる作曲法です。
中世のポリフォニーより声部が多くなり(4つ~6つのメロディー)、ひびきが美しく表現も豊かになっていきます。
【中期】フランドル楽派とジョスカン・デ・プレ、ポリフォニーの完成
中期ではフランドル楽派(今のオランダ、ベルギー、北フランスあたりのフランドル地方)が活躍します。
ブルゴーニュ楽派が美しい響きと豊かな表現へと発展させたポリフォニーを、さらに完成させてヨーロッパじゅうに広めていったのです。
この時期の有名な作曲家はジョスカン・デ・プレです。
あまり聞いたことはないと思いますが、YouTubeで聴くことができます。
この時代の音楽がどんなだったかを聴くことができるなんて、今は便利な時代ですね。
【後期】複数の声部が独立して響きあう「ポリフォニー」のしくみ
後期は1520年ころから1600年ころですから16世紀になります。
この時代はルターの宗教改革が大きな変化をもたらしました。
カトリック協会が発行する免罪符について、「そんなことで救われるのは、おかしい!」という考えから、発展した改革運動です。
免罪符とは、罪を犯してもこれを買うことによって許されるというものです。
これはやっぱり変ですよね。
宗教改革とガリレオの地動説、人々の価値観を揺るがした大事件
宗教改革が起こったこの時代に、近代科学の父といわれたガリレオ・ガリレイが「地動説」を正しい説として唱えたことも、人びとの生き方を変えるきっかけとなりました。
航海が発達し、海外と取引ができるようになって、豊かな商人が現れ、音楽を始め芸術を支援するようになったのです。
このように世の中が大きく変わろうとしていたので、音楽にも大きな変化があらわれます。
「調和」や「美しさ」を求めたルネサンスまでの音楽では、表現しきれないものを感じた音楽家たちは、もっとダイナミックなものを求め、心の動きを音にのせて表現していきました。
これまでの美しいひびきを生む和音以外に、感情を表現するメロディーが主役になっていきます。
イタリア・フィレンツェの隆盛、世俗曲「マドリガーレ」の誕生
この時代には音楽の中心がイタリアのフィレンツェに移っていったのです。
ここではマドリガーレというスタイルの音楽がうまれました。
マドリガーレとはイタリア語の歌詞で、3声部以上の世俗的な多声歌曲(マドリガル)のことです。
今までラテン語で歌われてきた歌詞が、わかりやすい詩や言葉に変わっていきます。
誰にでもわかる親しみやすい音楽になっていったのですね。
歴史の流れが大きくなってきました。
次回は「バロック音楽」、クラシック音楽の幕開けです
次の時代、バロック音楽についてお話しします。
私たちが耳にすることの多い、クラッシク音楽の始まりです。
ヴィヴァルディ、バッハ、ヘンデルなどの作曲家の名前を聞いたことがあるでしょう。
いよいよバロック音楽の三大作曲家たちの登場です。
ぜひ続きを読んでくださいね。

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