2026年のNコン(NHK全国学校音楽コンクール)に向けて、日々熱い練習を重ねている高校生の皆さん、そして合唱部の指導者の皆さん、こんにちは!
第93回(2026年度)Nコン・高等学校の部の課題曲『まだ旅の途中』。
もう皆さんは、あのJ-POPやゴスペルのエッセンスが詰まった熱いグルーヴに挑戦していることと思います。
当ブログの解説記事もたくさんの方にお読みいただき、皆さんがこの曲に並々ならぬ情熱を注いでいるのがビシビシと伝わってきています。
さて、この『まだ旅の途中』を語る上で、絶対に避けて通れないのが、作詞・作曲を手がけたアーティスト・AI(アイ・植村愛カリーナ)さんの存在です。
「上手く歌おうとしなくていい。魂をぶつけて、心を震わせてほしい」
AIさんはこの曲にそんなメッセージを込めていますが、いざ歌おうとすると、「AIさんのような圧倒的なエネルギーって、どこから湧き出てくるんだろう?」「あの温かくてソウルフルな歌声で歌うのはどうしたら?」と、AIさんに興味が湧いてきた人も多いのではないでしょうか。
今回は、名曲『まだ旅の途中』を深く表現するために、「アーティスト・AIとはどんな人?」を、彼女の人生を形作ってきた「お母さんのこと」「今の家族のこと」「歌声のルーツ」という3つの温かい視点から、じっくりと紐解いていきたいと思います。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
AIのパワフルな原点・型破りで深い愛をくれた「お母さん」の存在
AIさんというアーティストを語る上で、真っ先に登場してもらうのが、AIさんのお母さんのバーバラさんです。
AIさんのあの突き抜けた明るさ、底なしのポジティブさ、そして誰をも笑顔にしてしまう人間性のルーツは、このお母さんにあるのです。
バーバラさんはお父さんが日本人、お母さんがイタリア人のハーフです。
子供の頃はアメリカに住んでいたのですが、ちょうど第2次世界大戦が終わったころ。
日本軍に身近な人を傷つけられた、殺されたという人がいたため、バーバラさんがハーフと知ると、友達がみんな離れて行ったり、差別を受けたりしてとても落ち込んでいたそうです。
また、結婚して日本に来ると、日本の文化、習慣を知らないためいじめられたりもしました。
思い余ってアメリカにいるお父さんに訴えたところ「住んでいる国を好きになること、尊敬すること。そのために歴史や、文化について勉強しなさい」と英語で書かれた300冊もの本を送ってくれたそうです。
素晴らしいお父さんですね!
それから3年かけて勉強し、一念発起してどんなときにも笑顔を絶やさないようにしたそうです。朝起きたとき「今日は最高!」「絶対成功する」など前向きな言葉を声に出して言うようにしていました。
そして「人のためになることをしよう」と考えるようになったそうです。
とにかくパワフルでチャーミング、そして型破りな「愛の人」です。
AIさんが生まれ育った鹿児島の実家は、いつも音楽と笑い声、そしてお母さんが連れてくる多国籍な友人たちで溢れていたといいます。
パワフルなお母さんは、タップダンスの講師、イラストレーター、ボランティア団体を主宰するなど広く活躍されているそうです。
AIさんのエッセイやインタビューを見ていると、お母さんとのエピソードはどれもクスッと笑えて、同時に胸がじんわりと温かくなるものばかりです。
例えば、AIさんが幼い頃、何か落ち込むことがあったり、学校で上手くいかないことがあったりすると、お母さんは真剣な顔でこう言ったそうです。
「AI、あなたには特別な力がある。世界をハッピーにするために生まれてきたんだから、細かいことは気にしちゃダメ!」
根拠なんてなくても、お母さんから「あなたは素晴らしい」と100%信じられると、自信が湧いてきますよね。
この経験が、AIさんのなかに「揺るぎない自己肯定感」と「人への信頼」という大きな土台を作ってくれたのだと思います。
AIさんが放つ「ハピネス」のオーラは、お母さんに注がれた愛が、そのままAIさんから溢れ出ているものなのでしょう。
『まだ旅の途中』を歌う皆さんは歌詞を思い出してみてください。
そこには、迷ったり立ち止まったりしている「あなた」を、大きな腕でハグして肯定してくれるような温かさがありますよね。
あの包容力は、AIさんがお母さんから受け取ってきた愛の記憶そのものではないでしょうか。
もし皆さんがこの曲を歌うとき、「どう表現していいか迷う」とき、自分のなかにある一番温かい記憶――大切な人から愛された瞬間や、背中を押してくれた家族や心にとめてくれた大人の笑顔を思い浮かべてみましょう。
それだけで、声のトーンがぐっと温かく、力強くなると思います。
AIの音楽を支える不器用で愛おしい「今の家族」との絆
アメリカでの留学を経てプロデビューし、日本の音楽シーンのトップを走り続けてきたAIさんは、夫であり音楽ユニット「カイキゲッショク」のリーダー・HIROさんと、2人のお子さん(長女・長男)を持つ「お母さん」でもあります。
AIさんのSNSやメディアでの発言を見ていると、ステージの「世界の歌姫」としての顔に、泥臭く、全力で育児と向き合う「等身大のママ」としての顔が重なり、とても愛おしく映ります。
AIさんの家は、いつも賑やかで、ちょっとした大騒ぎの連続だそうです。
子どもたちが部屋中をおもちゃ散らかしたり、言うことを聞かなくて頭を抱えたり、仕事と家庭の両立にヒーヒー言ったり……。私たちの日常と何も変わらない、不完全で、愛おしい「生活の営み」がそこにはあります。
AIさんは、家族についてこんな風に語っています。 「家族がいるから、私はステージで100%のパワーを出せる。家に帰れば、ただのママ。かっこ悪いところも全部見せられる場所があるから、外で勇敢になれるんだよね」
これって、まさに合唱の「アンサンブル」と同じだとおもいます。
合唱部の日々も、毎日が完璧なハーモニーなわけではありませんよね。音程がズレたり、意見がぶつかったり、部活に行きたくないなと思う日だってあるでしょう。
でも、同じ目標に向かって時間を共有している仲間がいるからこそ、本番のステージで一歩前に踏み出す勇気がもらえのではありませんか?
『まだ旅の途中』というタイトルには、AIさん自身が「一人の母として、一人の人間として、今も悩みながら家族と一緒に成長している途中なんだ」という、リアルな現在進行形の想いが込められているのでは無いでしょうか。
魂を震わせる「ソウルフルな歌声」・ゴスペルクワイアーと命の響き
AIさんの最大の魅力といえば、やはり聴く人すべての魂を鷲掴みにするような「ソウルフルな歌声」ですよね。
AIさんの声は、「歌が上手い」という次元を超えています。
ハスキーで、地声のエネルギーがぎゅっと詰まっていて、聴いているこちらの心臓をドクドクと揺さぶってくるような、圧倒的なパワーがあります。
この歌声のルーツは、AIさんが高校時代に留学したロサンゼルスのアートスクールで出会った「ゴスペルクワイアー(聖歌隊)」にあります。
キリスト教の教会から生まれたゴスペル音楽は、単なるエンターテインメントではありません。
かつて過酷な状況におかれた人々が、神への祈りや、生きる希望、そして「私たちは絶対に負けない」という魂の叫びを、声を合わせて歌い上げたものが原流にあります。
AIさんは、現地の黒人クワイアーのメンバーたちの中にたった一人のアジア人として飛び込み、彼らが五感を全開にして、体全体を楽器のように鳴らして歌う姿に衝撃を受けました。
「歌うことは、綺麗にカッコつけることじゃない。自分の喜びも、悲しみも、弱さも、全部神様や仲間に向けてさらけ出すことなんだ」
AIさんはこの留学時代に、言葉の壁を越えて「声と声で魂がハグをする」という強烈な体験をしました。
これが、アーティスト・AIの骨格であり、今回の『まだ旅の途中』のベースにある精神です。
クラシックの合唱では、「声を一つにまとめること(ブレンディング)」や「美しい母音の響き」が重視されます。
もちろんそれは素晴らしい技術ですが、AIさんの世界観を表現する『まだ旅の途中』においては、それだけでは「片手落ち」になってしまいます。
AIさんが求める「ソウルフル」とは、優等生の歌を歌うことではありません。
「どれだけ不器用でもいいから、今生きている自分のエネルギーをそのまま声に乗せること」です。
サビを歌うとき、少し喉をひらいて、自分の胸の底から湧き上がる地声(チェストボイス)を恐れずに響かせてみてください。
『まだ旅の途中』に込められた、高校生たちへの「エール」
AIさんのお母さんから受け継いだ「無償の愛」、今の家族と育む「愛おしい日常」、そしてゴスペルで培った「魂の歌声」。
これら3つの要素が奇跡のように掛け合わされて生まれたのが、今年の課題曲『まだ旅の途中』です。
ここで、改めて今年のNコンのテーマである「どきん」という言葉に立ち返ってみましょう。
高校生の皆さんが過ごしている「今」という時間は、人生のなかでも最も「どきん(心が大きく揺れる瞬間)」が多い時期です。
進路に対する不安、友人関係のすれ違い、コンクールに向けたプレッシャー、自分という存在への迷い……。
心がポジティブにもネガティブにも激しく揺れ動く、とても繊細で、同時に爆発的なエネルギーを秘めた季節です。
AIさんは、そんな皆さんの「どきん」を、誰よりも温かい眼差しで見つめています。
歌詞のなかで繰り返される『まだ旅の途中』というフレーズは、AIさんから皆さんへの「最高の祈りであり、全肯定のメッセージ」です。
「結果が出なくてもいい。途中で間違えてもいい。悩んで、泣いて、仲間とぶつかり合っているその瞬間こそが、あなたたちの人生の美しい旅の一部なんだよ」と。
この曲を歌うとき、「失敗したらどうしよう」「上手くハモらなかったらどうしよう」という恐怖にとらわれないようにしましょう。
その不安な気持を、前半のネガティブな「どきん」のフレーズに乗せてしまえばいいのです。
そして、後半に向けて仲間と声を重ねていくなかで、「一人じゃない」というポジティブな歓喜の「どきん」へと歌っていきましょう。
AIさんがかつてロサンゼルスのクワイアーの仲間たちと涙を流しながら歌ったあの熱量を、今度は皆さんが、自分たちの教室や音楽室、そしてステージの上で再現してみてください。
AIさんの魂(ソウル)を受け取って歌いましょう
今回は、Nコン2026年高校生課題曲『まだ旅の途中』の作者であるAIさんの人となりについて、その愛あふれる背景を深掘りしてきました。
AIさんという人は、どこまでも人間臭く、愛に溢れ、自分の弱さも強さもすべて歌に変えて世界を照らしてきたアーティストです。
AIさんがどんな想いでこの曲を紡いだのかを知ると、楽譜に並んだ音符たちが、にわかに体温を持って動き出すような感覚になるのではありませんか?
完璧な演奏を目指さなくても良いのです。
皆さんのチームにしかできない、不器用でも熱い「魂のアンサンブル」を響かせてください。
お母さんのように温かい心で仲間を信じ、今の家族のようにありのままの自分をさらけ出し、ゴスペルクワイアーのように魂を震わせて歌うこと。
それこそが、AIさんがこの曲を通して皆さんに一番伝えたかった『まだ旅の途中』ではないでしょうか。
今年の夏、全国のステージで、皆さんの「どきん」が爆発し、唯一無二のソウルフルな歌声が響き渡る瞬間を、心から楽しみにしています!
最高の仲間と共に、この素晴らしい音楽の旅を、胸を張って全力で駆け抜けてください。
応援しています!

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