シューベルトの交響曲「未完成」はどんな曲?謎って何?

今回はフランツ・ペーター・シューベルト(1797年~1828年)の交響曲「未完成」の魅力とは?
なぜ未完成なの?といった疑問を、わかりやすく解説していきます。

基本的に、交響曲は4楽章(急・緩・舞曲・急)の形式で書かれています。
ところが「未完成」交響曲は2楽章しかありません。
しかし、わずか2楽章の短い曲なのに、その完成された美しさはどこから来るのでしょう。

そんな「未完成」の疑問を次のような視点で、やさしく解説します。
◆なぜ未完成なの?
◆どんな曲なの?
◆聴きどころは?

ぜひ最後まで読んで、「未完成」交響曲を聴いてみて下さいね。

シューベルトの交響曲「未完成」はなぜ未完成なのか?

交響曲「未完成」は1822年、シューベルトが25歳のときの作品です。
交響曲として作曲したものは、途中でやめてしまったものを含めると、10曲以上あるとのこと。
現在交響曲として整理されているのは8曲で、交響曲「未完成」は第7番となっています。

交響曲「未完成」の最大の特徴は、通常4楽章形式の交響曲が、2楽章で終わっていることです。
それにもかかわらず、交響曲「未完成」はクラシック交響曲の中でも、圧倒的な人気があります。

では、なぜ未完成のままなの?
これは未だにはっきりしない、ミステリーなのです。
これまでにいろいろ言われてきたなかで、有力な説は
◆健康の悪化(たび重なる病気)
◆別の作品に集中した(ピアノ曲「さすらい人幻想曲」に取りかかってしまった?)
◆第3楽章のスケッチを書いたが、気に入らなかった?

「未完成」を書いていた頃のシューベルトは、その年の暮れに腸チフスに罹り、次の年の春まで具合が悪かったのです。
しかし、シューベルトは体調が悪くても創作を続け、しかも数々の作品の質は落ちるどころか、傑作を書き続けています。

1822年の暮れには「未完成」の第2楽章までを仕上げ、第3楽章の途中まで書いてそのままになってしまったのです。
翌年の1823年、シューベルトは、この2楽章の交響曲を友人のヒュッテンブレナーに贈るのですが、なぜかヒュッテンブレナーはこの曲を世に出すことはしなかったそうです。

交響曲「未完成」がようやく日の目を見たのは、シューベルトが亡くなってから30年も経ってからだったのです。
シューベルトには交響曲に限らず、他にも沢山の未完成の曲がありました。
完成させる前に次からつぎへと湧いてくる楽想によって、新しい曲に取り組んでしまったという説もあります。
才能に取りつかれたようにして、亡くなるまで創作を続けた天才だったのですね。

シューベルトの「未完成」交響曲、楽章ごとの魅力は?

「未完成」交響曲はどんな曲?
出だしの暗く沈むような旋律に、コントラバスのピチカートによるリズム。
そこへクラリネットの美しいメローディーが現れ、暗い心に差し込む光を感じさせます。
この対比は聴く人の心に「何が起こるのだろう」という思いを起こさせ、曲の中に惹きこまれます。
影と光のコントラストが印象的な曲と言えるでしょう。

第1楽章(Allegro moderato)のドラマ性

交響曲「未完成」はロ短調で書かれていますが、それまでにロ短調で交響曲を書いた作曲家はいなかったのです。
特にベートヴェンは「ロ短調は交響曲には暗すぎる」と言っていたそうです。

シューベルトの「未完成」交響曲はまるで物語の幕開けのように、コントラバスとチェロの低音から静かに始まります。
何か不吉なものを感じさせる出だしから、やがて管楽器が泣いているような旋律を歌いだし、弦楽器の規則正しいリズムにのって、ホルンが温かい音で次の主題を告げるのです。
チェロが歌い出す優しい旋律は美しく、しかしどこか不安げで儚さが感じられます。
一転して翳りをおびた強い音で不安が襲います。そして怒りの感情が爆発するような展開に驚かされます。

この明と暗がくりかえされ、シューベルトの魂の声を聴いているかのように、曲の中に引き込まれてしまいます。

第2楽章(Andante con moto)の安らぎ

第2楽章は一転して遅めのテンポで始まり、天国的な安らぎと美しさが広がります。
疲れた心をそっと包み込むような優しさに、癒されるような音楽です。
しかし、その安らぎの中にも影がさして…安らぎと怒りとあきらめが繰り返されるのです。
この感情の揺れがシューベルトらしさなのだなぁと思いながら、聴き惚れてしまいました。
最後は静かに幕を閉じるように終わります。

2楽章だけでここまでドラマティックな音楽を聴かせてくれるシューベルトの内面には、計り知れない悩みがあったのかもしれませんね。
こんなに濃い内容です。
「未完成」と言われていますが、2楽章ですでに完成されているのではないでしょうか。

難しいところはありません。
直接的な表現でスッと心に忍び込んでくる音楽を、ただ感じ取るだけで良いのです。
初めて聴く人にも感動を届けてくれる素晴らしい音楽です。
ぜひ、聴いてみて下さい。

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