モーツアルトのオペラ魔笛とフリーメイソンとの関係は?啓蒙思想とは?

オペラや交響曲、器楽曲など幅広い分野でたくさんの傑作を残して、35年の短い人生を駆け抜けた大天才モーツアルトのオペラについてお話しします。
今日はオペラ「魔笛」について時代背景とともにお話していきます。

オペラには次のような種類があるのを知っていますか?
・オペラ・セリア=18世紀イタリアで主流だった、真面目な内容の歌劇
・オペラ・ブッファ=庶民的な喜歌劇
・オペラ・コミック=セリフがあるフランスの歌劇
・ジングシュピール=セリフと歌が組み合わされた、ドイツ語のオペラ
・オペレッタ=軽い喜歌劇 庶民的で気軽に見ることのできるもの
・楽劇=ワーグナーが提唱した詩・音楽・舞台美術が一体となったもの

「魔笛」はドイツ語で歌われる劇と歌で構成されている、ジングシュピールといわれるものです。
ウイーンの庶民が楽しめるよう、安いチケットが販売されたというのも、フリーメイソンの思想からくるものでしょう。

1791年にモーツアルトによって作曲されたオペラ「魔笛」には、単なるおとぎ話ではなく深い思想が隠されています。
王子タミーノの試練、魔法の笛と鈴、コミカルな鳥刺しパパゲーノがお話の中心で、一見すると楽しい舞台劇ですが、その奥には「人間はどう生きるべきか」という問いがあるのです。

作品の鍵となるのが理性を信じる啓蒙主義思想とフリーメイソンの精神の世界です。
「魔笛」はこのような深い思想によって書かれているのに、笑いがあり登場人物が魅力的で、楽しい場面が多いのです。
「魔笛」はどんなオペラか、一緒に見ていきましょう。
最後まで読むと、きっと「魔笛」を観たくなりますよ。

啓蒙主義とフリーメイソンとは?

18世紀後半のこの時代、ヨーロッパでは啓蒙主義思想がひろまっていました。
啓蒙とは蒙(暗き)を啓(開く)といった意味で、理性の光によって無知やおろかさの闇を追放することです。
理性によって社会をより良くしようという考え方が、政治、教育、芸術すべてに影響を与えていたのです。

この思想がとくに活発だった都市のひとつが、当時の文化の中心地だったウイーンでした。
さらに改革を進めた皇帝ヨーゼフ2世のもとで宗教に対する寛容、教育の改革など自由な雰囲気がありました。
この社会環境の中で生まれたのがオペラ「魔笛」です。

モーツアルトと魔笛の台本作者はフリーメイソンの会員?

魔笛の台本を書いたのはエマヌエル・シカネーダーと言う人です。
シカネーダーは劇作家というだけでなく、フリーメイソンにもかかわっていました。
フリーメイソンの会員だったモーツアルトとも親交が深かったといわれています。

フリーメイソンとは1717年にロンドンで始まった啓蒙主義思想の団体です。
フリーメイソンではヒューマニズム(人道主義)を基に自己の完成をめざし、ひいては人類共同体の完成をめざすという目標を持っています。
そのためシカネーダーの作品は、道徳的な成長、知恵についての考えなど童話のなかに本質的な要素が盛り込まれています。

魔笛の作品には次のような象徴的なことがらが取り上げられています。
・試練をとおして成長する主人公
・知恵と理性を象徴する神殿
・数字3に関係する出来事
・沈黙や自己たんれんの重要性
これらはフリーメイソンの儀式や理念に共鳴しているのです。

魔笛とはどんなお話?ストーリーを簡単に

ある日、王子のタミーノは大蛇に追われて倒れてしまいます。
そこへ「夜の女王」に仕える3人の侍女があらわれて王子を助けました。
夜の女王は「娘のパミーナが悪い魔法使いにさらわれた。助けてくれたら娘はお前のもの」と歌います。
王子は娘の肖像画をみて一目ぼれ、救出の旅に出ることを決意しました。
おしゃべりな鳥刺し男パパゲーノも、女王の命令で一緒に行くことになります。
二人は女王から魔法の道具をもらいました。
タミーノには危険なときの防具として、人の心を動かすことのできる笛
パパゲーノには恐怖や混乱を笑いに変えることのできる魔法の鈴

二人が旅を続けていると意外なことが分かってきます。
パミーナをさらったと言われたザラストロは、悪人ではなかったのです。
ザラストロはパミーナを母親から守る、知恵のある指導者でした。

ザラストロは「本当に強い人になるには、試練を乗りこえなければならない」と言います。
タミーノとパミーナはザラストロが与えた「沈黙、恐怖、火と水の試練」に挑みました。
沈黙=語らないことで、自分を抑える訓練
恐怖への克服=内面的再生
火と水の通過=古い自分を洗い流し、新しい存在へ

そして二人は協力しあって、すべてを乗り越えます。

試練を乗り越えたタミーノとパミーナは心が強くなり、相手を信頼する人として成長しました。
そして二人は結ばれたのです。
パパゲーノにも可愛い恋人が出来ました。
二人で歌う「パ・パ・パ・パ」の歌はふたりの明るい未来を歌い、ユーモラスな表情、コミカルな演技とで親しまれています。
感情にとらわれ、復讐に燃えていた夜の女王は力を失い、世界に光と調和がもどってきました。

最期はメデタシメデタシでホッとしますね。

「魔笛」に現れる数字3がなぜ重要なのでしょう

「魔笛」は「3」でできていると言っても良いほど、この数字がくりかえされます。
・はじまりの和音が3回繰り返される
・3人の侍女
・3人の童子
・3つの神殿
・3つの試練
「3」が意味するものは何でしょう?
フリーメイソン的象徴では「3」は完成と調和を意味しています。

そしてさらにつぎの3つの統合を意味しているのです。
知恵=正しく理解する力
強さ=困難に耐える力
美しさ=調和を生み出す力
「3」は理想的人間であることの完成形をあらわしているのです。

「魔笛」登場人物の象徴するもの 思想的役割は?

・タミーノ  探求する人  真理を求めて成長する精神
・パミーナ  純真な心   愛と調和による完成
・ザラストロ 理性と知恵  啓蒙された世界の指導者
・夜の女王  感情と闇   無知と恐怖の世界
・パパゲーノ 本能的な人間 今の幸福を求める存在

それぞれの人物が象徴するものを見ると、この物語の意図するところが見えてきますね。
「感情の世界」から「理性の世界」へとフリーメイソンの思想が表されているのです。
「魔笛」は人間の精神が成長する過程を舞台化したものと言えるでしょう。

「魔笛」の音楽表現と思想との関わりは?

この作品のすごいところは、モーツアルトが表している象徴的な音楽にあります。
理性と光を明るい長調で、不安と混乱を暗い単調で。
そしてシンプルな旋律は純粋さを、厳格な和音は秩序を、超高音の歌は感情の暴走を表現しています。

ここでは夜の女王に、最も劇的な音楽を与えています。
夜の女王のソプラノは抑えることのできない感情、爆発する怒り、理性を超えたエネルギーなどを、非常に高い音域で歌わなくてはなりません。
技術的にも難しいこの役を歌えるソプラノは、貴重な存在と言われています。
このオペラの聴きどころの一つではないでしょうか。

なぜこの作品は今も意味を持つのでしょうか?

現代でも私たちは同じ問いにぶつかります。
それは
感情に流されてしまうのか、それとも理性を選ぶのか。
恐怖に支配されるのか、理解しようとするのか。
一つひとつ直面した時に、簡単に答えが出せないことばかりですね。

230年以上前に書かれた「魔笛」に描かれているものは、今も続いている人間の課題です。
それでこのオペラを観ると考えさせられ、共感が生まれ感動するのでしょう。
この物語が古くならない理由はここにあると思います。
このオペラを観ると、生きるうえで何が大切かが見えてくるのではないでしょうか。

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